なんでも屋 神…第一幕

そこから俺が一ノ瀬に指定したアパートまでは、時間にして二十分くらいだった。



ボロボロの二階建てアパート［白雲荘］。小さな白雲荘と書かれた看板は、風化して殆ど読みとる事は出来なかった。



二階の何部屋かの郵便受けには、新聞やダイレクトメールが無理矢理詰め込まれている。



一階の右側の一番端が、一ノ瀬に指定した部屋。車を玄関のドアの目の前にバックで駐車した。



コンコン。



「どうやら三人共無事に着いたらしいな。」



玄関ドアを開けて直ぐのリビングは、色褪せた畳が六枚綺麗に並んでいる。



部屋はそこしかない。ここから一ノ瀬の第二の人生が始まるのだ。



「…はい。なんとか無事に着く事が出来ました。なんでも屋さん、今回は有り難う御座いました。」