WILD ONE ~キミに夢中~
海は入るには当たり前だけど寒すぎて、私達はコンクリートの狭い階段を上って防波堤に座った。

なんだか感傷的な私の目の前には夕日に染まる真っ赤な海と太陽、そして微妙な距離をあけて隣にやっぱり真っ赤なアッキー。

微かに煙草の煙といつもの柑橘系の香りが流れてくる。

「タキ。寒くねぇ?」

「ん~。大丈夫」

「皮下脂肪の差か……」

って、うるさいし。失礼だし。

ホントは寒いし。

潮風がひっきりなしに吹き付けて、それを全身に浴びてて冷えないわけがない。

けど素直になんて言えない……。

「ハッ、ブシュッ!!」

ああ、……残念すぎる。

そのくしゃみは残念すぎるよ、タキちゃん。

アッキーが『色気ねぇクシャミしてんじゃねぇよ』と笑っているのを横目にティッシュを鞄から出す。

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