WILD ONE ~キミに夢中~
「ちょっと待ってろ」

と防波堤を歩いて行くアッキーの足取りは軽やかで、赤い髪が夕日にとけて。

そして──

「う……うわッ!アッキー?」

飛んだ!?

トンッ──

そんな音を連想させる様な見事な着地。

──マジで飛んだのかと思った。

「なんだよ?」

防波堤の下の細い道からアッキーが見上げている。

「……なんでもない」

鳥になったのかと思ったなんて言えやしない。

「変な女ぁ……」

「バーカ」

クッと小さく笑って、『覚えておくぞ、今の“バカ”』と呟きながらクルッと向けた背中を見ながら、思わずにはいられない。

……あんなふうに飛べたら、人生は違うのかなぁ。

あんなふうに飛んでいられたら、人生はもっと──
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