WILD ONE ~キミに夢中~
「ほれ」

差し出された缶コーヒーを両手で握りしめると指がジンジンとする。

……温かい。

「な、……タキ」

隣からの声に顔を向けると、そこにはこの寒さの中でもきっちりヤンキー座りのアッキー。

その座り方、夕日と似合わないよって言いたかったのに言えなかった。

アッキーが私の髪をスッと一回だけ撫でたから。

「なに?」

「ごめんな?」

「……なにが?」

「ん~。色々。俺がイケメンでお前と釣り合いが取れない事とか、タキが本当は俺にメロメロなのにそれを素直に言う機会を与えてない事とか、耳を舐められたいと思ってる──」

「3秒以内に黙れ!」

満足気にアッキーがケタケタ笑った。
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