WILD ONE ~キミに夢中~
何かの間違いであって欲しいのに、中山は『ヒヒヒ』とゴリラ全開で訂正する気もないらしい。

臆病狼か、と小さく笑った晴海先輩が急に視線を移し、私をじっと見据える。

なぜ?なぜこの瞬間に私を睨……見る?

やっぱ恐いし。

やっぱ聞いちゃマズかったって事?

“臆病狼”のくだり?

それは完全に聞かされたんですけど!!

聞きたくないのに、アンタ達の声のデカさで聞こえちゃったんですけど!?

てか聞かれたくないなら、私の前で話すんじゃねぇ!

私は被害者だ!!

固まった私に『お前も参加させてやるよ』と訳分からない事を言う晴海先輩。

結構だ!

お断りだ!

絶対にろくでもない事に違いない。

晴海先輩はゆったりとした仕草で長い前髪をかきあげ、まるで私の気持ちなんてお構い無しで『ククッ』と喉を鳴らした。
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