WILD ONE ~キミに夢中~
畳に転がるアッキーの目が天井の電気を見つめて動かなくなり

そしてスッと瞼が閉じた。

ヤバくね?

「ねぇ、寝るなら家帰って寝てよね?風邪ひく……た、煙草ぉ!灰が落ちるぅ!!」

アッキーの右手の煙草の灰は私の差し出した灰皿に間一髪で収まった。

「んも~!」

私の声に少しだけ目を開き、いつもよりも少しだけボケッとした顔がやっとこっちに向けられる。

「……マコとミサキ……上手くいってないってさ~。ミサキが言ってた」

その茶色の瞳にいつもの強い光は宿ってない。

迷子の子犬のような弱さに潤む瞳に釘付けになってしまう。

見なきゃ良かった。

高藤が“臆病狼”ならこっちは“迷子の狐”ってトコか。

そんな目で見ないでよ……。

私、そう言うの弱いんだからさ。

「そう、なの?」

「俺は嘘は言わねぇよ」

と拗ねた子どもの様に口を尖らす。

けど、大嘘ついてるよね?

……悲しい大嘘ついてんじゃん。

あ……。

ヤバイ……。

本当にヤバイ。
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