WILD ONE ~キミに夢中~
“ヤバい”って自分で分かってたのに……。

深く知ったら苦しいって分かってんのに。

この気持ちをなんとか胸の奥に押し戻そうと深呼吸までしたのに……。



「お前も……俺のせいだって思うか?」

この掠れた声に

私は完全にノックアウトされた。

目の前の狐から目が離せない。

化かせなかった狐の搾り出すような小さな叫びが、耳にこびりつくように繰り返し流れる。

「お前もそう思ってんだろ?正直に言えよ~」

上半身を起こして、今度は変な笑顔の仮面付けて……寂しそうに鳴くから──

あぁ、もうダメだ……。
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