WILD ONE ~キミに夢中~
「ここはトモ婆に俺が借りてる部屋だ。お前は明日からここを使う予定だったんだろ?って事は今日までは俺の部屋って訳だ……」

……確かに。

「で、でもッ、私知らなかったし。前に使ってる人がいるなんてッ!」

「……俺に落ち度はねぇ」

「……だって………窓から入って来るなんて──」

「俺の自由だ。……俺に落ち度はねぇ」

クソッ!

正論過ぎる。

えぇい!勝ち目もない相手にこれ以上喧嘩売っても仕方ないんだし。

そうだ。野菜か何かだと思い込もう。

あれは真っ赤なトマトだ。

トマトだ、トマト。

やっぱトマトを殴っちゃいかんよ。

食べ物は大切にしなきゃ。

だから──

頑張れ、私。

「……ども……すみませんでした」

「気にすんな」

……誰かアイツを川に沈めて。
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