WILD ONE ~キミに夢中~
微妙な空気の部屋に、窓から風と一緒にトモ婆ちゃんの声が流れ込んでくる。

『茶ぁぁぁ、入ったぞぉぉ……』と。

ん~。絶妙なタイミングだ。

最初に動いたのはアッキーだった。

ヤツは『……行くぞ』とコンポに手を伸ばしてスージー・クワトロを黙らせると、窓辺に置いてあったくたびれたスニーカーに手を伸ばす。

そんなトコ置いたのかよ。

汚いなぁ……。

「ねぇ……今度からはドアから入って来てよね。一応、私女だし」

「あ?……あぁ」

アッキーは本当に興味なさげに答えた。

離れの小さな玄関から母屋の庭の縁側までは数メートル。

その間、前を歩くアッキーに『こけろ~!こけろ~』と念じながらついて行く。

「……怨念送ってんじゃねぇ」

あ……バレてた?

「そんな事してないってば」

「……俺はエスパーだ」

「…………」

アッキーはバカなのか?



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