WILD ONE ~キミに夢中~
「お前、今『コイツはバカか』って思っただろ?」

「う?うん」

「ほらな」

……だからエスパーだと?

いやいやそこは“エスパー”ではなく、確実に“バカ”が決定したトコだ。

蔑む視線を送る絶好のチャンスだったのに振り返ったアッキーが口角を上げてるからか、

想像してたより表情が柔らかかったからか、

思わず小さく笑ってしまった。

「……ねぇ、なんて名前?」

「あ?……アキラ。黒田暁(クロダアキラ)」

けど……やっぱり喋るとぶっきらぼうだった。

図に乗るなと言われてるようで

空気を読み間違えた気がしてこんな時でさえドキドキしてしまう。

私は本当に宇宙一のチキンだと思う。

そんな自分を隠すように『私、江川タキ。よろしく』と言うと急いで居間へ続く縁側に上がった。





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