WILD ONE ~キミに夢中~
つつ……井筒って?

井筒……監督?

映画かなんか?

そう訊こうと思った時、アッキーの携帯からダースベーダーのテーマが流れた。

ってかコイツずいぶんな選曲してるんだなぁ。

今度こそ鼻で笑ってやろうと視線を移すと、寝転がったまま携帯を開いたアッキーの眉がピクッと歪む。

一瞬だけのぞいたその顔は、見間違えじゃなければ寂しげで。

見ちゃいけないようなそんな気がして、慌てた私はまた麦茶を口にしてあの甘さに眉をしかめた。

そして『あ?俺。……悪い。今日は行けない』と聞こえたアッキーの声はさっきまでの声とは違って、少しだけ掠れて。

「……あの、私に気を使ってるなら」

どうぞ是非とも出かけちゃってくれ、と言おうと思ったのに

「んな事ねぇ」

先に遮られてしまった。
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