WILD ONE ~キミに夢中~
古いブラウン管のテレビの中では若い名前も知らない水着姿のアイドルがキャンキャン言いながらゲームに興じていて

アッキーは『惜しい!!あとちょっと!!』とテレビの前にズリズリと移動してまた転がる。

……テレビの下側から見たからって水着の中や司会者のミニスカートの中が見えるわけないじゃん、バカ。

本物のバカ。

呆れて何も言う気にならない。

さっき見たあの表情はただの偶然だ。

やっぱアッキーはただのバカさ。

私はテレビの下で『ポロッ~。行けッ、ポロ~』と呟くアッキーを見てそれを実感した。

それから静かでアホな時間が流れて、トモ婆ちゃんはもう私に何も聞かなかった。

聞かれたくないから助かったけど。

そして寝不足のせいか瞼が重くなった頃、アッキーが言った。

「あ、トモ婆、うちの母ちゃんがトマト下さいって――」

「ああ、そうかい。じゃ、ちょっと畑に行って来るかな。待ってろよ」

畳を擦るような音がだんだん遠くなって、トモ婆ちゃんが家を出て行く。


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