WILD ONE ~キミに夢中~
ズズッと畳が擦れて、『じゃ、いいじゃん』と立ち上がったアッキーがこちらに向かってくる。

よくないし、こっちに来るな。

今こそ、テレビの下に寝てりゃいいのに。

私の事なんて気にせず、ゆっくり寝てりゃいいのに。

アッキーの後ろじゃ待望の『ポロッ』が起きているというのに……。

「てか……。人助けのつもりで。ね、俺が暴走したら……止めてくれればいいから」

「……人助け?暴走?」

アッキーが近づいて、右手が伸びてくる。

「じ、自分で止めれるでしょ?暴走。人助け?んなの意味わかんないし」

てか何この変な雰囲気は。

なんで私、金縛り?

「タキが俺を好きじゃなくてもいいから……」

アッキーの右手が私の髪に到達して……

「フニャ……」

私は腰から砕けた。

床にへたり込む私に『本当に耳弱いよね、タキちゃんは』と笑うと縁側から出て行く真っ赤。

……トマト、お忘れですよ。
< 34 / 245 >

この作品をシェア

pagetop