WILD ONE ~キミに夢中~
「あっちぃ」

2つの窓を勢い良く開け放つと、風がそよそよと弱々しく吹き抜ける。

けどそんなんじゃこの蒸し蒸し感はまるで解消されず、私は扇風機の《強》のボタンを足で押した。

そして何気なく視界に入った棚の上の小さなコンポ。

あれ?何か入ってるじゃん。

再生ボタンを押すと流れたのは古い感じの洋楽だった。

コンポの上に無造作に置かれたCDのケースに手を伸ばす。

……スージー・クワトロ……?

とその時、背後の窓から物音がして何気なく振り返った私が見たのは……

窓から降り立つ真っ赤。
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