WILD ONE ~キミに夢中~
勝ち誇った私に降って来た信じられないセリフ。

「……電車は1時間に3本だ。浦ヶ崎ナメんなよ?」

…………。

わっすれてたぁぁぁ!

ここド田舎、浦ヶ崎!!

「さ、遅刻しないように学校行くかぁぁ」

両手を高く掲げて伸びをするとアッキーがバッグを掴む。

あぁぁぁぁぁぁ。

「よぉ~し。俺様はバイクで遅刻しないように行くかぁ」

立ち上がるアッキー。

あぁぁぁぁぁぁ。

『ごめんなさい』が喉まで来てるのに、音にならない。

くぅ~……。


「人に算数とか言う前に自分が世の中の常識知れってんだよなぁ」

と遠ざかるアッキーの背中。

……『浦ヶ崎の常識』の間違いだろッ、とはもちろん言えず。

それどころかジャージをどこにしまったか、記憶の糸を手繰りまくっている私。

居間の襖を横に滑らしながら、アッキーが振り返った。

「10秒で履いて来い」

「ふ……ふぁいッ」

うりゃッ!

私が縁側から裸足で飛び出した事は言うまでもない。
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