WILD ONE ~キミに夢中~
『え……?誰?』
『お……女?だよね?』
『男?でも制服が──』
『見て。真っ赤……』

囁かれる声、声、声。

ああ、うるさい。

分かってるってばッ!

悪かったよ、169.8センチも身長があってさぁ。

髪が真っ赤でさぁ。

しかもその真っ赤が短髪で、むしろウェービーなアッキーよりも確実に男寄りな風貌。

でもさ、私だって好きでこんな容姿なわけじゃないんだよッ!

生まれたらこうだったわけでさ。

私に罪はないじゃーん。

と心の中で叫んだトコで……

「ああ、虚しい……」

「あ?」

そんなすさんだ私とは対照的に振り返ったアッキーは差し込む朝日なんて浴びちゃって、キラキラして見える。

はぁぁぁぁ。

「……何でもないよ、アッキー」

アッキーには分かるまい。

私はため息をつくと『私、職員室行くから。乗せてくれてありがとね』と言うと、アッキーを追い越して職員室を目指した。
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