time
忘れもしない。
あの時のことを。
海斗と初めて出逢ったのは、あたしが小学校1年生のとき。
第一印象は、騒がしい子だった。
先生の指示を守ることもなく毎日いたずらばかりして怒られていた。
あたしは、逆でおとなしい性格だったから海斗のことが嫌いでしょうがなかった。
「男ってなんでこんなんなの!」っとおもうこともしばしば。
友達の亜美のことをからかってイタズラしてみたり。
スカートめくりをしたり。
そのたびにあたしは声をはりあげていた。
「なんでそんなことしか、出来ないの~!?バカじゃん!!」
「うるせぇよーババァ!!」
「今ババァって言った?それならあんたはジジィだねッ!!ふんっ」
今思えば、なんてクダラナイ会話をしていたのだろうと思う。
まぁ、子供でしか出来ないことだけれど。
毎日一緒に生活するうちに、大嫌いだった海斗の意外な一面をあたしは知ることとなる。
いつもと同じように帰宅する途中、公園から聞き覚えのある声が耳に入った。
「お兄ちゃん~今日も遊んでくれるの~?」
「うん!何するかぁ~!!」
木の陰から見ると、そこにはあたしたちより少し小さい子たちが集まっていて真ん中に囲まれるように海斗がいた。
そのあとしばらく見ていると鬼ごっこを始めた。
どうやら鬼は海斗。
皆いっせいに走り始めた。
「キャー逃げろー!!鬼がきたぞぉ。わ~!!」
「コラ待てぇ~!!」
いつもはクダラナイと思うけれどその時は違った。
あそこまで一生懸命に楽しくしてくれる人はいない。
すごく慕われているんだなぁっと子供ながらに感じ、優しい気持ちになった。
そして、なによりもキラキラした笑顔が眩しかった。