time
「じゃ、行ってきまーす。」
家を出たが、やっぱり少し肌寒い外。
あたしは今日から高校生。
新しい生活が始まる。
制服はまだ大きいけれど、逆にそれが新鮮で嬉しいのかもしれない。
サクラのつぼみが今まさに花開こうとしているとき、時間も忘れてあたしはそんなのん気なことを考えていた。
「あ”っ、ヤバ!!もぅこんな時間。」
ケータイの時計の数字が、登校5分前を示していた。
入学初日から遅刻はありえない。
そんな度胸あたしにはないから、絶対間に合わせてみせる!
慌てて走り出した。
「ハァー なんだ、まだ全然余裕じゃん。」
間に合った。
我ながらスバらしい。
今日からここに通うんだ。
歪んだ廊下、だけど木の香りがする。
そんな優しく温かいところがあたしは気に入った。
呼吸を整え、言われるがまま体育館へと歩き出した。
1年らしい人たちがぞくぞくと同じ方向に向かっていて、その波にのっていたら体育館に到着した。
「ほら式が始まるぞーちゃんと並べー!」
先生が声を張り上げているけれど、その努力空しく大勢の生徒たちによってかき消された。