俺と少女とくまと夏休み
ゴクゴクとミルクティーを勢いよく飲むのを見ていると、よほど喉が渇いていたみたいだ。



「ねぇ、ここってどこ?」


『…はぁ?!』


「何か、お金があるだけで電車乗ってきたから、
いまいちここが何処なのか分からない」


『ってことは…お前、家出?』


「正解」



ビシっと人差し指をこちに向け、
嬉しそうに笑った。



はぁっと俺はため息をつき、また質問をしてみた。



『電車でお金使ったから、食べ物買うお金がなくなったのか?』



「そう。食べ物のこと考えてなかった」



『そんなことも考えてない子供が家出なんかするな』



そういうと彼女はキっと俺を睨み付けた。
するといじけたように下を向いてしまった。



『あのな?』



彼女がこちらを向いてくれるように、さっきより優しい口調で声をかけてみる。



『きっとお母さんが心配してるぞ?』


「お母さんいない」


『…じゃぁ、お父さんが』


「今日、女の人つれて出かけてった父さんが?」


『……』




…この子の家は思ったより大変のようだ。
< 7 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop