ラストゲーム
「あー、かっちゃん?」




電話の相手はどうやら男らしい。




姉の甘ったるい声が辺りに響く。



私は姉の男に媚びる声に寒気がした。




「ねー、仕事紹介してあげるー。」




くねくねとした声。




ここは北極地並の極限地だ。




「えー?仕事の内容?
えっとねー、なんと風俗嬢と一発やるだけー。
どう?やりたいでしょー?」




たぶん男に奈央の勤めている風俗店に行ってもらい状況を報告してもらおうという事なのだろうが、あまりに節操の無い言動。




こんな人間と血が繋がっているなんて思いたくない。



馬鹿笑いをしている姉の醜態を眺め、改めてこうはなりたくないと思った。




ある意味4歳上のこの姉の存在が、私をエリートコースに進ませたのかもしれない。




「あー、私今年みそじだよ。」




せめて30歳になる前に、日本語をまともに話せるようになってください。




そう願いつつ私は席を立った。
< 11 / 130 >

この作品をシェア

pagetop