ラストゲーム
とりあえず、現在奈央が勤めている風俗店にやってきた。




一体どうやって中に潜入しよう・・・?



そんな事を考えていると姉が口を開いた。




「体験入店でもしてみる・・・?」




却下だ。




私は一日でもこんな所に拘束されたくは無い。




というより、これから仕事だった。




「じゃーよろしく!!
大丈夫、あんたなら人気風俗嬢間違いなし!!」




私は姉の肩を叩いた。




「こんな時だけ調子いいよね、あんた。」




そういいつつもまんざらでもない表情の姉。




姉がこの世で一番大切にしていることは、男にもてることだ。




30まじかでミニスカにキャミソールという薄着の姉は、節操の欠片もない。




もはやその出で立ちでここに立っていると、出勤してきた風俗嬢だ。



というより、姉の普段の動向からして本当に働いていたとしてもおかしくは無い。



「じゃーよろしく!!」




私はその場を立ち去ろうとした。




「美佳ー!!」




姉が私の名前を呼んだので振り返る。




「何?」



「美佳もここで抜いてけばー?あのエリート刑事が恋人じゃたまってんじゃないのー?」




姉の発言に顔をしかめた。



でもここは、こいつと口論しても仕方無い。




「辞めとくわー。こんなトコに来るおっさんの相手なんてしたくないし。」




私はいつになく素直に姉の言葉に返した。




普段なら素通りする場所に立ち止まると色んなことが見えてくる。




中年のサラリーマンらしき男達がこの立派とは言い難い小屋のような建物に真っ昼間から集まり女を求めている。




一体どんな世の中だよ・・。




私は軽蔑の眼差しで通り過ぎる男達を眺めつつその場を後にした。
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