ラストゲーム
「三井刑事」




名前を呼ばれ振り向くとそこには、先日、お世話になったばかりの探偵が立っていた。




思いがけない人物と思いがけない場所で出会い、情けないが動揺してしまった。



私は、冷静を装う。




「今、職務中なのですが何か?」




私の表情を察してか、探偵は、意味深な微笑みをみせた。




「先程の事件で刺された被害者の子供、どうやら神宮奈央の息子さんのようです。
一応、それだけは、伝えておこうと思いまして。」




探偵は、それだけ言うと、人混みに紛れていった。




奈央の子供が刺されて、現在、意識不明の重体。




私が地獄に落とすまでもなく、彼女は、勝手に地獄に堕ちていく。




奈央との対面が早まりそうだ。




「本当に悲惨な人生送ってんなー奈央。」




私は、ぼんやりと空を見上げた。




今にも雨が降りだしそうな真っ暗な空だった。
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