ラストゲーム
私が使う復讐の手段は、極めて単純明快だ。



ターゲットをマルチに勧誘し、借金地獄に落とし生活そのものを破綻させる。




単純だが、人間には一番堪える方法だと思う。




それは借金を苦にした自殺者の数の多さからも容易に想像できる。




やはり、お金が無いことは、人間を確実に追い詰める。




そして、この作戦の裏のたて役者は、巨大マルチ組織
「幸せカンパニー」



幸せとは名ばかりの人に不幸を売り付ける会社だ。




この会社は、健康食品を主に取り扱っており、
「若返り水」
と名打って、ミネラルたっぷりビタミンCにオリゴ糖まで配合された甘い飲料水が看板商品だ。



しかし、実際は甘味を付けたただの水。




そんなものを飲んで若返るとは、到底思えない。



商品の問題もさることながら、経営方針も最低だ。




商品を1本売るごとに会員に利益が出るという儲け話を持ちかけ、会員を集める。




実際の所、胡散臭い話から会員なんてそう簡単に集まらない。



しかし、世の中にはそんな胡散臭い話にさえ、乗ってしまうアホと、そんな胡散臭い話にさえ乗らざるを得ない状況に追い詰められた人間達が居る。



そんな不幸な人間を鴨にして、生き延び成長を続けているこの会社。




私の計画に大きく貢献してもらう。



当然だ。




この会社がのうのうと生き延びていられるのは、私のおかげだ。




これからも摘発されかけたら証拠を隠蔽し、助けてやる。




だからその分しっかり働いてもらいます。
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