ラストゲーム
「そうだよ、あのじじいの刑事もうざかったんだよね。
真っすぐ俺を見て、罪を償え・・だって、さみいよ。」




男は、悪怯れた様子で笑う。




その笑顔に私の中で、何かが弾け、男に掴み掛かった。




側に居た警官に取り押さえられる。




「佐藤刑事は、お前より生きる価値のある人間なんだよ。
お前みたいなくずの瞳でも真っすぐに見れる・・立派な人だった。」




頬をつたう一筋の涙。




その後もただ茫然と連行されていく犯人の後ろ姿を目で追っていた。




絶対に許さない。




全身で怒りを表現しながら。




後日、新聞やニュースでは、同僚の無念を叫ぶ女刑事として、私の記事が紹介された。
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