ラストゲーム
私は振り返る。




そこにはうすら笑いを浮かべた田中雅樹が立っていた。




「やっと自殺するんだー。早く飛び降りてよ、俺ここで見学させてもらうから。」




田中雅樹はその場に体育座りをし、頬杖をつき笑みを浮かべながらこちらを眺めている。




その姿に私の中で何かが弾けた。




なんて醜い生き物なんだろう・・?




こんな人間のせいで・・・




死ねねぇ。




私は田中雅樹を軽蔑の眼差しで一瞥し、フェンスをよじ登り現実へと舞い戻った。



「なーんだ。死なないんだ、つまんない。」




相変わらずふざけた態度のこの男。




私は頭に血が上り、田中の胸倉を掴み、勢い良くフェンスに叩きつけた。
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