Jam Diary ~3ヵ月で何度、トキめきますか?~
「天馬さん、来てたんですかぁ~」
黄色い声ではしゃぎながら、男の人に駆け寄るはるか。
……その相手の顔に、あたしは見覚えがあった。
「うん。仕事の関係でね、ちょっとだけ顔を出したんだ」
やわらかい話し声と、物腰。少しクセのある、黒い髪。
……いつもうちのカフェに来てくれるお客さんだ。
以前、あたしが淹れたコーヒーを、『おいしかった』と言ってくれたあのお客さん……。
「あっ、沙耶。紹介するね。
うちのネイルサロンの、オーナーの弟さん。建築士さんなんだよ」
はるかが私にそう言ったとき、彼の視線もこちらを向いた。
そして、「あ……」と目を見開いた。