Jam Diary ~3ヵ月で何度、トキめきますか?~
「泣ーくーな」
ぽすっ、と乱暴な仕草で、頭にのせられる手のひら。
ずっとあたしの髪を切ってくれていた、タケルのこの手が、あたしは大好きだったんだ。
でもそれはきっと、恋じゃなくて。
親友とか家族みたいな意味で……。
「時間がたったら絶対、友達に戻れるし。な?」
「……」
「もし……いつか本気で好きな男できたら、また俺んとこ髪切りに来いよ。
最高に可愛くしたるから」
この状況で、そのセリフは
逆効果だよ。タケル。
よけいに涙が止まらなくなるよ……。
「ちゅーか、早よ乗らなドア閉まるぞ。終電なんやから、ほら」
背中を押され、あたしはおぼつかない足取りで電車に乗った。
あふれる涙を拭く前に、窓の向こうのタケルの姿が、視界から消えた。