Jam Diary ~3ヵ月で何度、トキめきますか?~

開店直後から、売り場は大賑わいだった。

あたしは機械みたいに、黙々とチョコを売り続けた。


みんな幸せそうな顔。オシャレに気合い入れちゃって、このあとデートなんだろうな。


あー。なんか今、あたしと世間の距離が遠いわ。



「お疲れさん。しばらく休憩してていいよ」

「はーい」

夕方の4時頃。やっと休憩をもらえたあたしは、奥の事務室に入った。


他のバイトの女の子が、「みんなで食べてください」とチョコの詰め合わせをテーブルに広げたので、ひとつもらって口に放り込んだ。


「甘……」


……そういえば

あいつを初めて見たのも、バレンタインだったっけ。


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