Jam Diary ~3ヵ月で何度、トキめきますか?~
今まで誰かを好きになっても、こんな感じにはならなかった。
恋愛より自分の時間が大切で、誰かにペースを乱されることがあるなんて、想像もしなかった。
「うん。わかった」
天馬さんが遠慮がちに、私の手を離す。
そしてデスクがある奥の部屋に行ったかと思うと、名刺を持って戻ってきた。
「これ、僕の番号とアドレス。
こんど沙耶さんの都合がいい日に、映画でも行こう」
「はい……」
両手で名刺を受け取る私。
すると、その手に視線を落とした天馬さんが、なぜかまぶしそうに微笑んだ。
「……何か?」
「いや。沙耶さんって、いつもシンプルな爪をしてるなぁって」