Jam Diary ~3ヵ月で何度、トキめきますか?~
タケルは「すみません、替わります」ともうひとりの美容師さんに断って、担当を交替してくれた。
あたしはおずおずと着席した。
「……ホンっマ、お前は」
鏡の中。ジロッとにらんで、タケルが言う。
「どこまで人騒がせな女やねん」
「ごめんなさい……」
「あいかわらずドアホすぎるわ、ホンマ」
言葉は怒ってるのに、タケルの顔には八重歯がのぞく。
見慣れたはずの、その笑顔。
あ……ダメだ。すでにもう泣いちゃいそう。
「で?今日はカットやろ? どんな感じにするねん」
タケルの手が、あたしの髪に触れた。
……あぁ、やっぱり。
この手以外に、髪を切ってもらいたくないよ。