Jam Diary ~3ヵ月で何度、トキめきますか?~


「それでさ。父さんも母さんも沙耶のことすごく気に入って…」


店がヒマなのをいいことに、小声で話しかけてくる颯太。

私は相づちを打ちながらも、まだ胸のモヤモヤが晴れない。


……あと3カ月。

春になったら私は颯太と仙台に行って、颯太の奥さんになるのか……。

夢だった自分のカフェを持たせてもらって、そのうち子供を産んで……。

安定した、幸せな将来。

私の理想そのものなのに、気持ちの整理がつかない。



『そこまで沙耶が頑張ったところで、お客の方はたいして気付いてくれないだろ』



以前ならたいして気にならなかった、あんな些細な価値観の違いが、今はすごく大きく感じるんだ。

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