韓国人店長と私~強がった恋の小さな結末~
「どうしたの?」
そう声をかけても、隣のレナちゃんがマユミちゃんの肩を抱き首を振るだけ。
元々仲良しの二人と、店以外の付き合いはない私。
結局それ以上踏み入る事は出来ず、黙っていつもの待機席へと腰を下ろした。
仕事にならないぐらいに泣くマユミちゃんの声だけが暇な店内へ響きわたり、それに気付いているのかいないのか。
アキちゃんは受付から出てこない。
その時。しゃくりあげる声の端、グズグズと言葉になっていないマユミちゃんの口から
一瞬だけはっきりと、切り取られたように一言が漏れる。
「……アキちゃん……」
私だから気付いたのかもしれない。その位小さな、分かりにくい声で。
マユミちゃんは、確かにアキちゃんと……そう言った。