真冬の恋人
そんな奇妙な毎日が続いた。
恋人になると言ったわりには、私に指一本触れてこない彼。
いや、変なコトされても困るんだけど……。
「真帆子、何かしてほしいこと無い?」
相変わらず薄着だし、名前も年齢も謎のまま。
私の推測だと、20歳前後に見える。
仕事してるのかとか、今までどこに住んでいたのかとか。
何度聞いても笑ってごまかす彼。
せめて、名前だけでも教えてほしい。
「じゃあ名前、教えて」
「名前は、無いんだよね〜」
「馬鹿にしてるの?」
いつまでたっても、彼の素性は謎のままだった。