真冬の恋人
ひとひらの雪が、手紙の上に落ちた。
上を見上げると、空からは真っ白な雪。
「……っ……」
空を見上げたのも、雪のせい。
この頬を濡らしている雫も、雪のせい。
私は、泣いてなどいないのだから。
「……っ……」
鼻水が出てくるのも、雪のせい。
心が寒いのも、雪のせい。
「……っ……」
悲しくなんかない。
全ては、雪のせい。
「……っ……」
私は手紙を握りしめ、冷たくなった手を、カイロで温めた。