真冬の恋人
◇不思議な男
昨日この男は、私に何でもすると言った。
だからって、頼んでもないことはしないでほしい。
「いってらっしゃい真帆子」
「……」
学校まで送ってあげると言って、校門の前まで着いてきた男。
バイクや車で送ってくれるならまだしも、
隣を歩くなんてやめてほしい。
「ねぇ真帆子、今朝一緒に来てた人って彼氏?」
ほら、こういうことを聞いてくる人がいるんだよ。
「彼氏じゃない」
「じゃあ誰?彼氏じゃないなら紹介してよ」
「あ、有紗ずるい。あたしに紹介してっ」
私は何て言い返せばいいのかわからなくて、
ただただ無理やり笑顔を作り続けるしかなかった。
本当に、あの男は何者なんだろうか。