真冬の恋人
◇不思議な男




昨日この男は、私に何でもすると言った。


だからって、頼んでもないことはしないでほしい。


「いってらっしゃい真帆子」


「……」


学校まで送ってあげると言って、校門の前まで着いてきた男。


バイクや車で送ってくれるならまだしも、


隣を歩くなんてやめてほしい。




「ねぇ真帆子、今朝一緒に来てた人って彼氏?」


ほら、こういうことを聞いてくる人がいるんだよ。


「彼氏じゃない」


「じゃあ誰?彼氏じゃないなら紹介してよ」


「あ、有紗ずるい。あたしに紹介してっ」


私は何て言い返せばいいのかわからなくて、


ただただ無理やり笑顔を作り続けるしかなかった。




本当に、あの男は何者なんだろうか。



< 5 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop