秘密にし・て・ね(後編)

「あの、まもなく救急隊の人が来るので藤堂さんは別の部屋に居た方が良いと思います。
ここは俺が対応するし病院にも付き添いますんで」


友成の言葉に夏樹は何も言わなかった。

花咲のことをすごく心配しているのがその表情で分かる。

でも、ただでさえこんな住宅地のマンションに救急車が停まるのも目立つのに出てきた人が藤堂夏樹だったなんて知れたらとんでもない事になる。

藤堂夏樹も一瞬救急車を呼ぶのに怯んだのもそういった理由からだろ?
自分の立場を考えたんだろ?

花咲には悪いけど、今日、俺が居たから花咲の異変にすぐ対応できたけど、俺が居なかったらどうなっていたんだ?

藤堂はすぐに救急車呼んでくれたのだろうか?




そんなことを考えていると、遠くの方からサイレンの音が聞こえてきた。


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