秘密にし・て・ね(後編)
「藤堂さん、来たみたいだから」
そう言うと、心配しながらも膝の上に乗せていた佳奈の頭を床にそっと置き自分はリビングに消えていった。
ドンドンッ
「救急車が到着しました、大丈夫ですか?」
すぐさま救急隊の人が佳奈をストレッチャーに乗せて救急車に運んだ。
「かかりつけの病院はありますか?」
「大学付属病院で今日精密検査をしてきて、その後体調がわるくなったんです。内科の高杉先生が主治医なので連絡をしていただきたいのですが」
「分かりました、それでは救急搬送の連絡をしてみます」
その間、友成は夏樹の様子が気になり部屋に戻るとリビングでどこかに電話をしている夏樹と目が合った。
「あの、これから病院に向かいます。藤堂さんはここで待っていますか?」
「いや、これから仕事があるんだ・・・・・・・申し訳ないけど、佳奈のこと宜しくお願いします。これ俺の連絡先です。何かあったら連絡ください」
そう言って夏樹は小さな紙切れを渡した。