秘密にし・て・ね(後編)
高杉先生たちが帰った後、佳奈は実家に電話をした。
≪はい、花咲でございます≫
≪あっお母さん?私・・・・≫
≪佳奈?久しぶりじゃない。珍しいわね佳奈から電話かけてくるなんて。何かあったの?≫
≪うん、あのね・・・私、今病院に居るの・・・・・≫
≪病院!?≫
≪この間、会社で倒れちゃって精密検査を受けた帰りにまた意識がなくなっちゃって救急車で運ばれちゃって今日から3~4日検査結果が出るまで入院しなきゃいけないの。それで先生が両親に説明したいから病院に来てもらってくれって言うんだけどお父さんかお母さんどちらかでも良いんだけどこっちに来られるかな?≫
佳奈が淡々と話すのでそのまま聞いていたが病院の先生がわざわざ家族を呼ぶのは普通の状態ではないのは聞いたことがある。
娘の身体に何か良くないことが起きているのだろうか・・・・・?
佳奈の母親は嫌な胸騒ぎがした。
≪分かったわ、すぐにお父さんに連絡を取ってそっちに行く準備するわ。あなた、それで今は体調どうなの?≫
≪今は、いつもと変わらないよ。先生から結果が出るまで安静にって言われてるんだけど、病院内ならちょっと動いても良いって言われてるからあとで売店に行ってみる≫
≪そう、無理しちゃダメよ。東京に着いたら連絡するから≫
≪うん、慶徳大学付属病院の血液内科だから。ここ個室だからもしかしたら別の部屋に移る可能性もあるから病院に着いたら入院受付で病室聞いてみてね≫
佳奈は親が来てくれると聞いてちょっとホッとしていた。
初めて病院に入院する事になって病名もはっきり分からず外界と遮断されているようなこの空間で一人ぼっちになったような感覚でちょっとブルーになっていた。
でも久しぶりに母親の言葉を聞いて心の底から安心できたような気がした。