秘密にし・て・ね(後編)
「夏樹、さっき入ってきたとき、一瞬誰だか分からなかったよ。髪の毛長くってしかも帽子被ってるからパッと見だと夏樹だって分からないね。なかなか変装上手だね」
夏樹の出で立ちは目深に被っているキャップとそこから出ているロン毛は肩まで長く緩やかにパーマがかかっている。髪の色も結構な茶髪だった。ちょっと派手な大学生風でいつもの夏樹の雰囲気からは想像できない。
「ここに来るときどうやって行こうか悩んでいて、もし誰かにバレちゃったらこれから佳奈の周りが騒がしくなって治療に専念できないと思ったから極力バレないように気を使ったつもりだけど、彼女の佳奈でさえ分からなかったって事は変装成功かな」
「フフッ大成功かもね!夏樹、忙しいのに来てくれて本当に嬉しいよ!あのね友成君が言ってた通り、私入院になっちゃったんだ・・・・夏樹に会いたくても当分はあえなくなっちゃう・・・・せっかく今年のクリスマスは夏樹と一緒に過ごせるかな~って思ってたのに多分クリスマスは病院で過ごすことになりそうだよ・・・・」
佳奈はせっかく夏樹と初めてのクリスマスを過ごせると思ったのに思わぬ病のためにそれがかなわぬ事になってとてもショックだった。
「なるべく、時間を作って会いに来るようにする。だから佳奈は早く病気を治すことだけを考えるんだ」
「・・・・うん」