小さい男の子
嬉しそうに頷く舞。
友達って良いなあって改めて感じる。
「あ、ねえ、あの小さい子が呼んでるよ?」
舞が指差す方に視線を向ける。
誰あれ、何か可愛い。
「ね、舞あの子可愛くない?」
あたしの言葉に驚きを隠せない舞。
「どうした?」
「え、だって美香が男の子可愛いとか言うの初めてじゃん!」
「そうだっけ?」
驚きながらも嬉しそうな舞。
「はら、早く行って来な!」
「う、うん」
いつも、また告白じゃない?とかって呆れ気味に言う舞がいつもと違うからあたしは舞の方を気にしながら廊下に出た。
「何?」
あたしがそう聞くと、
「好きなんだ、付き合って?」
そう言ってくりくりした目であたしを見て来る。
「考えさせて?」
なんて、珍しい返事をしたのも、直ぐに振れなかったのも自分でも驚いた。
戻ると、舞わあたし以上に驚いた顔であたしに話しかけてくる。
「ね、あの子気になるの?」
ありえない。
そう自分で思っていても心臓は嘘を付けなかった。
まだドキドキしている心は、あたしを動揺させる。
今まで好きな子なんか居なかったあたしに好きな子が出来るなんて事は、自分でも無いと思う。
しかも、あたしより小さい男の子。
ありえない。
じゃあ、このドキドキは何?
恋をした事のないあたしには、まだこれが恋だと分からなかった。