ブラッティ・エンジェル
「!!」
体が、じっとり嫌な汗をかいている。長い髪が、頬や額に張り付いている。震えは止まらず、目からは涙がにじむ。
 目を閉じたいけれど、またあの夢を見るのではないかと、恐れ閉じられない。
 自分自身を抱くように、肩を掴む。ぎしぎしいう首を動かして、周りを見渡す。
 自分の部屋。隣でくかーをあほくさくいびきをかいて寝ている、ユキゲ。
 あれはただの夢だと、自分自身に言い聞かせる。
 あの日から、毎日見るようになったあの夢。
 どんなに見ても、恐怖を覚える。
 あれは、本当にあったことだとサヨはしっている。誰が人殺しなのか、サヨはしっている。
 たがら、恐い。どうしようもなく、恐い。

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