ブラッティ・エンジェル
「あんたが、サヨさんだな」
サヨは思わず、足を止めた。
少年のものと違う、大人らしい声。それが誰のものか、正確にはわからないが、彼だと直感が言った。
サヨは、カフェオレの香りを漂わせているテーブルを振り返った。
そこには、ニッコリとサヨに手を振っている、さっきの青年がいた。
「なぜ、サヨだと?」
サヨは笑顔をするのを、忘れていた。
「いつだったか、テレビに出てたっしょ」
あぁ、そういうことか。と、サヨは気が抜けた。いったい、何をそんなに身構えていたのだろうか?
この店にきている人は、サヨのことを知っている人が多いのに。
「それに、ゆずソックリ」
サヨは、衝撃的な言葉に思わず盆を落としてしまった。
ガンッという渇いた音が響き渡った。
「あ。…申し訳、ありません」
あまりにも衝撃すぎて、何も手に付かない。
盆を拾おうとしゃがんでみるものの、手が動こうとしない。
「ゆずが言ってたんだよなぁ。自分はサヨになりたいってよ」
彼の言葉に、サヨはハッとした。
自分のことをあんなに憎んでいるゆずが、どうしてサヨになろうとしているんだろう?
どうして、他人になろうとしているんだろう?
サヨはすかさず盆を取って、立ち上がる。
「ゆずちゃんのこと、聞かせてください」
彼は、ニヤッと口の端をあげた。そして、握手を求めるように手を差し出した。
「どうもハジメマシテ。ゆずの元カレの津田(つだ)了介(りようすけ)ッス」
サヨは思わず、足を止めた。
少年のものと違う、大人らしい声。それが誰のものか、正確にはわからないが、彼だと直感が言った。
サヨは、カフェオレの香りを漂わせているテーブルを振り返った。
そこには、ニッコリとサヨに手を振っている、さっきの青年がいた。
「なぜ、サヨだと?」
サヨは笑顔をするのを、忘れていた。
「いつだったか、テレビに出てたっしょ」
あぁ、そういうことか。と、サヨは気が抜けた。いったい、何をそんなに身構えていたのだろうか?
この店にきている人は、サヨのことを知っている人が多いのに。
「それに、ゆずソックリ」
サヨは、衝撃的な言葉に思わず盆を落としてしまった。
ガンッという渇いた音が響き渡った。
「あ。…申し訳、ありません」
あまりにも衝撃すぎて、何も手に付かない。
盆を拾おうとしゃがんでみるものの、手が動こうとしない。
「ゆずが言ってたんだよなぁ。自分はサヨになりたいってよ」
彼の言葉に、サヨはハッとした。
自分のことをあんなに憎んでいるゆずが、どうしてサヨになろうとしているんだろう?
どうして、他人になろうとしているんだろう?
サヨはすかさず盆を取って、立ち上がる。
「ゆずちゃんのこと、聞かせてください」
彼は、ニヤッと口の端をあげた。そして、握手を求めるように手を差し出した。
「どうもハジメマシテ。ゆずの元カレの津田(つだ)了介(りようすけ)ッス」