ブラッティ・エンジェル
 どうしたものかと、腕組みをして考えているユキゲ。
 人に見える天使がいないことには、何も出来ない。
 人を見下ろせる宙で、横になって空を見上げる。
 下にある世界で何が起こっていても、同じ空。
 今、突然世界が終わっても、この空はずっと同じままなのだろうかと、思った。
 別に、そんなこと自分には関係ないこと。それなのに、唐突に考えてしまう。
「意味わかんねぇな」
1人考えておいて、1人で拗ねるユキゲ。
 ふと、アイツの泣き顔を思い出した。
 アイツ。ウスイの。
 どうしてだろう。最近、アイツのことが引っかかる。
「なんでアイツは、昔からオレをイライラさせるんだ」
チッと、舌打ちをして体を起こす。宙であぐらをかく。考えを、アイツを頭から振り離すように、頭をブンブンと振る。
 アイツは、昔っから氷の女って呼ばれるぐらい、笑わず、冷静沈着、他人と関わらず、干渉もしない、一匹狼、とがったナイフだったのに、どうしたんだ?
 あんなに、人間くさくなって。
 他人に干渉するし、感情的で、それだけで行動するようになった。
 アイツに何があったんだ?
 何もかもが、おかしい。
 別に、ウスイが人間くさくなったことはいいことだ。
 でも、あんな事するなんて。それなら、昔の氷の女でいた方がいい。
「あ~、ウゼェ!」
頭振って追い出したはずなのに、なんで考えているんだ。と、頭をかきむしった。
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