ブラッティ・エンジェル
「で、なんで機嫌が悪いのサ?」
いつも顔に戻ったセイメイがユキゲの事を掴み上げる。
「テメェに関係ねぇよ」
「ウスイのことでしょ」
「な!?」
驚いて目の前のセイメイを見るけれど、そこにはいつもの飄々としたユキゲ。
「最近、ウスイの様子がおかしいんだヨ。君ぐらいだろ。ウスイをあそこまで落ち込ませるのは」
「なんで、オレぐらいなんだよ」
「ウスイは不器用だから」
「はぁ?意味わかんねぇから。つか、放せよ」
羽根を掴んでいるセイメイの指を、叩くが全く力は弱まらない。
「ウスイ、人との接し方がわからないんだヨ。だから、ついついトゲのある言葉を言っちゃうんだ」
「じゃぁなんだ?アイツがオレに対しての態度がわりいのは、仕方ねぇって事か?」
「きっと、すんごく気に入ってるんだヨ」
虚を突かれて、オレは目を丸くした。
 そして、胸んとこがむずかゆくなった。
「…」
「ウスイの事、嫌いかい?」
「そんなんじゃ!」
反射的に出た言葉。自分でもビックリしていた。
 嫌いじゃない?あんなにイライラしてサイテーなヤツを?
 そう思うと、胸がチクチク痛くなる。
「放せよ!!」
牙をむいて叫ぶと、さすがのセイメイもユキゲを放した。
 解放されたとたん、ユキゲは風にも劣らないぐらいの早さで、天界へ帰って行った。
 残されたセイメイは、息をふっと吐き出した。
「だってサ、ウスイ。そこまで悩まなくてもいいんじゃないの?」
「…」
セイメイの背に隠れていたウスイは、黙り込んでいた。
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