ブラッティ・エンジェル
見知らぬ街。見知らぬ道。そこを慣れた足取りで歩いていくサヨ。
その背中は、いつもの見慣れたサヨのもののように見えない。そんな気が望はしていた。
サヨが、行きたいとこがあると言ったのはまだ何時間も前の事じゃない。
今日は、最高のクリスマスになると思っていたのに…。
暗い細い路地に入って行くサヨの背を、見失わないように追いかける。
直接は言わなかったけど、何となく行き先はわかってる。
その後、自分たちはどうなってしまうのかが心配で仕方がない。
何も言葉を放たない口からは、白い息が途切れ途切れ。
しばらくそうしていると、突然サヨの歩みが止まった。
視線の先には、廃墟のような建物。
「ここが、希のアトリエだよ」
サヨはそれだけ言うと、真っ直ぐ前を見据えて入って行った。
自分も行くべきなのか悩みながらも、望もその後を追って足を踏み入れた。
「懐かしいな。なんにも変わってない」
埃っぽくなったアトリエは、以前となんにも変わってはいなかった。
床に散らばった、たくさんの紙。
「片付けようとすると怒ったっけ?」
懐かしむように床に散らばっている紙に手を触れた。
懐かしむようなサヨを見ていると、なぜか胸にモヤモヤがたまっていく望は、思わず顔を背けた。
「希の絵。やっぱり、すてきな絵だと思うよ」
きちんとしまわれている絵を1つ1つ見ているサヨの横顔には、綺麗な微笑みが浮かんでいた。
「ゆずちゃんがね、このアトリエを残してくれたんだよ」
静かな声でたくさんの事を希に呟きながら、1つの扉の前に立った。
「この部屋、絶対入れてくれなかった」
その扉の取っ手に手をかけた。冷たくて少しだけサヨの手が震えた。
この先には何があるんだろう。なんて、とぼけて見せたサヨは扉を開いた。
そこは、思わず息をのむような部屋だった。
その背中は、いつもの見慣れたサヨのもののように見えない。そんな気が望はしていた。
サヨが、行きたいとこがあると言ったのはまだ何時間も前の事じゃない。
今日は、最高のクリスマスになると思っていたのに…。
暗い細い路地に入って行くサヨの背を、見失わないように追いかける。
直接は言わなかったけど、何となく行き先はわかってる。
その後、自分たちはどうなってしまうのかが心配で仕方がない。
何も言葉を放たない口からは、白い息が途切れ途切れ。
しばらくそうしていると、突然サヨの歩みが止まった。
視線の先には、廃墟のような建物。
「ここが、希のアトリエだよ」
サヨはそれだけ言うと、真っ直ぐ前を見据えて入って行った。
自分も行くべきなのか悩みながらも、望もその後を追って足を踏み入れた。
「懐かしいな。なんにも変わってない」
埃っぽくなったアトリエは、以前となんにも変わってはいなかった。
床に散らばった、たくさんの紙。
「片付けようとすると怒ったっけ?」
懐かしむように床に散らばっている紙に手を触れた。
懐かしむようなサヨを見ていると、なぜか胸にモヤモヤがたまっていく望は、思わず顔を背けた。
「希の絵。やっぱり、すてきな絵だと思うよ」
きちんとしまわれている絵を1つ1つ見ているサヨの横顔には、綺麗な微笑みが浮かんでいた。
「ゆずちゃんがね、このアトリエを残してくれたんだよ」
静かな声でたくさんの事を希に呟きながら、1つの扉の前に立った。
「この部屋、絶対入れてくれなかった」
その扉の取っ手に手をかけた。冷たくて少しだけサヨの手が震えた。
この先には何があるんだろう。なんて、とぼけて見せたサヨは扉を開いた。
そこは、思わず息をのむような部屋だった。