ブラッティ・エンジェル
「なぁ、ここでクリスマスパーティーしようよ。ケーキとか食べ物とか、コンビニにあると思うから、俺買ってくるよ」
まるで遠足でうかれている子供のように、うかれていた。
 バタバタとリビングをあがると音が聞こえて、サヨはハッとした。
「私もついていくよ」
望の後を追って階段を何段飛ばしに上がる。
 最後の一段を登り切るとき、すぐそこの自室から出てきた望と激突した。
 体に鈍い痛みが走り、宙に放り出された。どちらも、それぐらいの勢いで慌てようだった。
 やばい、ぶつかるとサヨは目を瞑った。望も階段を駆け下りサヨをキャッチしようとしていたが、間に合わない。
「あ」
その時、サヨはあることに思い出した。
 バサッと、望は久しぶりに目にする翼を見た。
 そうだ、サヨは天使だ。
 勢いよく落ちていたサヨは宙で勢いを落とし、ゆっくり着地した。
 それは、本当に神聖なる天使の如く。
 唖然としていた望は足を止めるのを忘れて、派手に壁に激突した。
「望!?ちょっと、大丈夫?」
その場に倒れ込んだ望は、Vサインををして玄関に向かう。立ったまま靴を履くと、アハハと乾いた笑い声をあげながら、夜に消えて行った。
 クリスマスパーティに必要なものを買いに行ったのだ。
「あ、まんまと置いてかれた」
サヨは、静かに閉まった扉を見つめて口を尖らせた。
「気まずいからって、置いてくことないじゃん」
不平不満を並べながら、サヨは脱衣所に行き服を乾かそうと乾燥機に入れようとした。
 その時、かさっと足下に何かが転がった。
「ん?」
何かと思って拾ってみると、それはサヨが望のために買ったクリスマスプレゼントだった。
 そういえば、渡し損ねていた。
 と、サヨの頭に良い案がひらめいた。


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