ブラッティ・エンジェル
エピローグ
話を聞き終えたサヨは、唇をかんだ。
遠くを見ている星司の顔は悲しさと愛しさに溢れていた。
ヒナガは勝手だ。そう思ったけれど、正しいとサヨは更に強く唇をかんだ。
天使と人間。一緒に歳を重ねることも、同じようにふけることも、一緒に暮らすことも出来ない。
ヒナガのしたことは残酷そうに聞こえた。
しかし、サヨの方が残酷な事をしているんじゃないか。そんなことが頭をよぎった。
「それでいいの?来世だなんて、本気で期待する気なの?」
「…アイツが決めた事だ。俺は、なにも言えないさ」
「そんなのって…!」
あんまりだよ。
そう言おうとしたのに言葉は喉を通っていかなかった。
それが無性にいらついて、サヨはなにも言わずに店を去った。
星司もなにも言わなかった。一人残されて、今更になっていろいろな感情が押し寄せてきた。
おもむろに立ち上がると、店の看板をひっくり返した。今日は、もう店じまいだ。
外を遮断するように、窓という窓を閉め切った。日の光が入ってこない店内は寂しい明るさだった。
来世。
そんなものあるのだろうか?期待するに値するのか?
「言われなくったってわかってんだよ」
ずるずると、星司はその場に座り込んだ。ぐしゃっとバンダナごと髪を握りつぶす。
言われなくったって、わかってるつもりだ。
でも、どうしろと?俺にはなにも出来ない。無力なんだ。無力な人間なんだ。
翼もなければ、特別な力もないし、知識もない。そんな俺がなにを言える?
来世なんか知ったこっちゃないんだ。今を一緒にいたいのに…。それだけなのに。
遠くを見ている星司の顔は悲しさと愛しさに溢れていた。
ヒナガは勝手だ。そう思ったけれど、正しいとサヨは更に強く唇をかんだ。
天使と人間。一緒に歳を重ねることも、同じようにふけることも、一緒に暮らすことも出来ない。
ヒナガのしたことは残酷そうに聞こえた。
しかし、サヨの方が残酷な事をしているんじゃないか。そんなことが頭をよぎった。
「それでいいの?来世だなんて、本気で期待する気なの?」
「…アイツが決めた事だ。俺は、なにも言えないさ」
「そんなのって…!」
あんまりだよ。
そう言おうとしたのに言葉は喉を通っていかなかった。
それが無性にいらついて、サヨはなにも言わずに店を去った。
星司もなにも言わなかった。一人残されて、今更になっていろいろな感情が押し寄せてきた。
おもむろに立ち上がると、店の看板をひっくり返した。今日は、もう店じまいだ。
外を遮断するように、窓という窓を閉め切った。日の光が入ってこない店内は寂しい明るさだった。
来世。
そんなものあるのだろうか?期待するに値するのか?
「言われなくったってわかってんだよ」
ずるずると、星司はその場に座り込んだ。ぐしゃっとバンダナごと髪を握りつぶす。
言われなくったって、わかってるつもりだ。
でも、どうしろと?俺にはなにも出来ない。無力なんだ。無力な人間なんだ。
翼もなければ、特別な力もないし、知識もない。そんな俺がなにを言える?
来世なんか知ったこっちゃないんだ。今を一緒にいたいのに…。それだけなのに。