ブラッティ・エンジェル
ふわりと女神のようにサヨへと手を伸ばすヒナガ。望は反射的に、渡さないようにそれから少し遠ざけた。
「サヨをここにいさせてはいけません。天界に連れて行きます」
安心させるような優しい声に、望の腕の力が緩んだ。
サヨを見つめるヒナガの顔は、険しいものだった。
天界に連れて行って、そのあとはどうする?確かにここにいるよりは幾分いいかもしれない。しかし、何の解決にもならない。まだ、方法がわからないのに。
ヒナガは、奥歯を噛みしめた。
「キミの細腕で、サヨチャンを持てるとは思えないネ」
突然現れた声に、ヒナガは驚いて顔を上げる。一瞬、怯えたような、まるで悪さを見つかった子供のような顔をしていた。
この暗い空間と対照的な、明るい外の光を背に立っていたのは、セイメイだった。
「手伝ってあげるヨ」
セイメイがサヨに手を伸ばす。しかし、望はサヨを渡そうとはしなかった。
サヨの腕を掴んだまま、どうにも出来ないとわかったセイメイは、うっすら瞳を覗かせて望を見る。
「俺が、サヨを連れて行く」
「キミは天界にいけない」
望はもう一度サヨを見る。自分がサヨを守ろうと思っていたのに。自分がサヨを助けようと思っていたのに。なにも出来ないなんて。
望は、腕の力を緩めた。今、望が出来ることは、サヨをセイメイに渡すこと。それだけだ。
「ああ、心配はいらないよ」
聞いたことのない声に、その場にいた全員が動きを止めた。ウスイとセイメイは、しまったと言う顔をしていた。焦り、恐怖。なにが当てはまるのかわからない。
「サヨをここにいさせてはいけません。天界に連れて行きます」
安心させるような優しい声に、望の腕の力が緩んだ。
サヨを見つめるヒナガの顔は、険しいものだった。
天界に連れて行って、そのあとはどうする?確かにここにいるよりは幾分いいかもしれない。しかし、何の解決にもならない。まだ、方法がわからないのに。
ヒナガは、奥歯を噛みしめた。
「キミの細腕で、サヨチャンを持てるとは思えないネ」
突然現れた声に、ヒナガは驚いて顔を上げる。一瞬、怯えたような、まるで悪さを見つかった子供のような顔をしていた。
この暗い空間と対照的な、明るい外の光を背に立っていたのは、セイメイだった。
「手伝ってあげるヨ」
セイメイがサヨに手を伸ばす。しかし、望はサヨを渡そうとはしなかった。
サヨの腕を掴んだまま、どうにも出来ないとわかったセイメイは、うっすら瞳を覗かせて望を見る。
「俺が、サヨを連れて行く」
「キミは天界にいけない」
望はもう一度サヨを見る。自分がサヨを守ろうと思っていたのに。自分がサヨを助けようと思っていたのに。なにも出来ないなんて。
望は、腕の力を緩めた。今、望が出来ることは、サヨをセイメイに渡すこと。それだけだ。
「ああ、心配はいらないよ」
聞いたことのない声に、その場にいた全員が動きを止めた。ウスイとセイメイは、しまったと言う顔をしていた。焦り、恐怖。なにが当てはまるのかわからない。