ブラッティ・エンジェル
実に静かで落ち着いた、中性的な男の声。汗をかいているウスイの視線の先には、この街には似つかわしくない格好をした、綺麗な男の子がいた。透き通った青い瞳が光っているかのように、輝いていて目を離せなかった。
「ほら、望も天界に来られた」
そういわれて初めて、自分たちがいる場所がさっきと違うことに気づいた。
白い柱が左右に均等に並んでいる部屋は、ギリシャの神殿を思わせる。眩しいくらい白で埋め尽くされていた。清潔感しか感じられないうえに生活感は全く感じない。床もピカピカで鏡のようだった。
「どうしたの?そんな怖い顔をして」
ニッコリと可愛らしく笑う男の子。何歳かは定かではないが、見た目は中学生そこそこだった。声と同じで中性的な顔立ち。夜のような色をした髪。
害がなさそうな雰囲気。それなのに、彼を見つめるヒナガとセイメイの顔は険しい。ウスイとユキゲも望と同じで今の状況を飲み込めないでいた。
「キミこそ、どうしたのサ。こんなところにボク達を招待するなんてネ」
いつものような余裕そうな口調と笑顔のセイメイ。しかし、緊張が見え隠れしていた。
「おかしな事言うなぁ。わかっているくせに」
笑顔なのに。口調も声も、こんなに優しそうで穏やかなのに、どこか威圧感があった。
望はなぜか危機感を感じで、サヨをギュッと抱きしめた。
「どうか。どうかお見逃しください!」
声を震わせるヒナガ。必死なのがわかる。サヨを隠すように、望の前に立つ。
「私がしたことの重大さはわかっています!処罰されるべきということも…」
「ヒナガ」
穏やかな声。それなにの、ヒナガは怯えたようにびくっと体を跳ね上がらせて、押し黙った。彼の表情が少しだけ悲しそうに変わった。
「君は賢い子だ。本当に残念だよ」
彼のその声に、ヒナガはぞっとした。自分がこれから処罰されるのだと悟って、体が震えた。彼に逆らえるわけがないのだから。
脳裏に愛しい人。星司が浮かんだ。もう会えなくなると思うと、悲しい。約束を守れないと思うと悔しい。
ごめんなさいの言葉しか出てこなかった。
「お待ちくださいませ!我らが主」
ヒナガを守るように両手を広げ前に飛び出してきたウスイ。ユキゲが驚いて目を見開いた。
「ほら、望も天界に来られた」
そういわれて初めて、自分たちがいる場所がさっきと違うことに気づいた。
白い柱が左右に均等に並んでいる部屋は、ギリシャの神殿を思わせる。眩しいくらい白で埋め尽くされていた。清潔感しか感じられないうえに生活感は全く感じない。床もピカピカで鏡のようだった。
「どうしたの?そんな怖い顔をして」
ニッコリと可愛らしく笑う男の子。何歳かは定かではないが、見た目は中学生そこそこだった。声と同じで中性的な顔立ち。夜のような色をした髪。
害がなさそうな雰囲気。それなのに、彼を見つめるヒナガとセイメイの顔は険しい。ウスイとユキゲも望と同じで今の状況を飲み込めないでいた。
「キミこそ、どうしたのサ。こんなところにボク達を招待するなんてネ」
いつものような余裕そうな口調と笑顔のセイメイ。しかし、緊張が見え隠れしていた。
「おかしな事言うなぁ。わかっているくせに」
笑顔なのに。口調も声も、こんなに優しそうで穏やかなのに、どこか威圧感があった。
望はなぜか危機感を感じで、サヨをギュッと抱きしめた。
「どうか。どうかお見逃しください!」
声を震わせるヒナガ。必死なのがわかる。サヨを隠すように、望の前に立つ。
「私がしたことの重大さはわかっています!処罰されるべきということも…」
「ヒナガ」
穏やかな声。それなにの、ヒナガは怯えたようにびくっと体を跳ね上がらせて、押し黙った。彼の表情が少しだけ悲しそうに変わった。
「君は賢い子だ。本当に残念だよ」
彼のその声に、ヒナガはぞっとした。自分がこれから処罰されるのだと悟って、体が震えた。彼に逆らえるわけがないのだから。
脳裏に愛しい人。星司が浮かんだ。もう会えなくなると思うと、悲しい。約束を守れないと思うと悔しい。
ごめんなさいの言葉しか出てこなかった。
「お待ちくださいませ!我らが主」
ヒナガを守るように両手を広げ前に飛び出してきたウスイ。ユキゲが驚いて目を見開いた。