ブラッティ・エンジェル
ぽうっと眩しいのに柔らかく暖かい光が部屋に充満する。なにが起こっているかはわからない。それでも、望の中からなにかが欠けていくのは感じられた。
そして、光が静まった部屋には苦しそうなサヨはいなくなっていた。望の腕の中ですやすやと眠っているサヨ。
その姿をみた望は胸をなで下ろした。助かった。サヨを助けることが出来た。嬉しくて望はその存在を確かめるように、ギュッと抱きしめた。
そこで、望はあれっと首を傾げた。
「視力はある…」
「力だけ取ったんだよ」
彼は疲れたとでもいうように、肩を叩いていた。親父臭い。
感謝しかなかった。
「ありが…」
「君はもうここにはいてはいけない。加護がなくなったから、ここは体に悪いよ」
神はニコッと微笑む。すると、消えるように望だけその場に消えていった。
彼を人間界に戻したのだ。
そう。人間界の空気が加護なしの天使には毒のように、人間にも天界の空気は毒なのだ。
望が消える直前、サヨは目を覚ました。彼の体温がさっきまであったのに、今はない。消えていく望を見たサヨは、ぞっとした。
「望!?」
「人間界に戻しただけだよ。安心して」
やんわりとほほえむ神を見て、サヨは不思議そうな顔をした。
今まで何があったのかも、彼が誰なのかもわからないのなら当然だった。
望むがさっきまでいた場所にしゃがみ込んだままのサヨは、不安でたまらなかった。目覚めたときに見た望。そして、軽いからだ。目の前にいる少年は想像していることと違うことをサヨに告げたが、それが本当だという証拠がない。
もしかしたら、サヨを助ける代わりに望自身を犠牲にさせたのでは?
そんなの、いやだ!
「望!」
今すぐ、彼が言ったことを確認したくてサヨは立ち上がった。しかし、ここには扉がない。どうやって出ればいいのかわからずに、サヨは不安を抱えたままその場に立ち尽くした。目を閉じて、ただただ望の安全を祈るのみだった。
「サヨ、安心してください。望は無事です」
やんわり、ヒナガはサヨを抱きしめた。子供を落ち着かせるように、優しく。
そして、光が静まった部屋には苦しそうなサヨはいなくなっていた。望の腕の中ですやすやと眠っているサヨ。
その姿をみた望は胸をなで下ろした。助かった。サヨを助けることが出来た。嬉しくて望はその存在を確かめるように、ギュッと抱きしめた。
そこで、望はあれっと首を傾げた。
「視力はある…」
「力だけ取ったんだよ」
彼は疲れたとでもいうように、肩を叩いていた。親父臭い。
感謝しかなかった。
「ありが…」
「君はもうここにはいてはいけない。加護がなくなったから、ここは体に悪いよ」
神はニコッと微笑む。すると、消えるように望だけその場に消えていった。
彼を人間界に戻したのだ。
そう。人間界の空気が加護なしの天使には毒のように、人間にも天界の空気は毒なのだ。
望が消える直前、サヨは目を覚ました。彼の体温がさっきまであったのに、今はない。消えていく望を見たサヨは、ぞっとした。
「望!?」
「人間界に戻しただけだよ。安心して」
やんわりとほほえむ神を見て、サヨは不思議そうな顔をした。
今まで何があったのかも、彼が誰なのかもわからないのなら当然だった。
望むがさっきまでいた場所にしゃがみ込んだままのサヨは、不安でたまらなかった。目覚めたときに見た望。そして、軽いからだ。目の前にいる少年は想像していることと違うことをサヨに告げたが、それが本当だという証拠がない。
もしかしたら、サヨを助ける代わりに望自身を犠牲にさせたのでは?
そんなの、いやだ!
「望!」
今すぐ、彼が言ったことを確認したくてサヨは立ち上がった。しかし、ここには扉がない。どうやって出ればいいのかわからずに、サヨは不安を抱えたままその場に立ち尽くした。目を閉じて、ただただ望の安全を祈るのみだった。
「サヨ、安心してください。望は無事です」
やんわり、ヒナガはサヨを抱きしめた。子供を落ち着かせるように、優しく。